下水道が合流式か分流式かを調べる方法|川崎市・横浜市・東京23区

「雨のあと、道路の側溝は流れているのに家の排水口だけがにおう」「庭の水はけが悪いので、雨どいの先をつなぎ直したい」。こうした相談の答えは、その家がどちらの下水道につながっているかで変わってきます。汚水と雨水を1本の管でまとめて流す合流式か、2本に分けて流す分流式か。同じ市の中でも町ごとに違い、住んでいる側が意識する機会はまずありません。ただ、調べる手立ては自治体が公開しています。川崎市・横浜市・東京23区の3つで、その道筋をたどってみます。
合流式と分流式は「雨水をどの管に流すか」の違い
川崎市上下水道局は「下水の排除方式」のページで、下水を集める方法には「生活排水などの汚水と道路や敷地内に降った雨水を同じ管で流す『合流式』と、別々の管で流す『分流式』とがあります」と説明しています。同局の「家庭の下水のしくみ」では、分流式について「トイレ・浴室・台所などの汚水を汚水管に、雨水は雨水管または道路側溝等に流す方式です」と書かれています。ふだん変わるのは雨水の行き先だと考えると整理しやすくなります。ただし、川崎市は合流式の短所として「降雨時に汚水が川や海へ放流されることがある」ことを挙げています。汚水がいつも処理場に届くわけではなく、強い雨のときの扱いが方式によって違う、というところまでが正確な理解です。
どちらが多いかは、市によってはっきり分かれます。横浜市は、分流式は「市の面積の約7割」、合流式は「市の面積の約3割」で整備されていると公表しています。一方で東京都下水道局は「東京23区の8割は、合流式下水道で整備されています」と説明しており、主流が逆になっています。都は、汚水と雨水を速やかに排除するために合流式を採用して早期に整備を進めた経緯と、「1本の下水道管を整備すれば良いため、分流式と比べて費用が安い」という特徴を挙げています。隣の市の常識がそのまま当てはまらないのは、このためです。
市や区の名前だけでは決まりきらない
川崎市は、区ごとのおおまかな区分を公開しています。分流式下水道区域は「麻生区、多摩区、宮前区、高津区の大部分、中原区の一部」で、合流式下水道区域は市のよくある質問のページで「川崎区、幸区、中原区の大部分、高津区の一部」と案内されています。ここで目を留めたいのが「大部分」「一部」という書き方で、中原区と高津区は区の中で方式が分かれます。つまり、区名だけでは自分の家がどちらかまでは決まりません。
川崎市自身も、排除方式のページで「排除方式をお調べの方は、公共下水道台帳施設平面図をご覧ください。」と案内しています。区の区分はあくまで全体像で、番地単位の答えは台帳にある、という構えです。区の全域が分流式にあたる多摩区については、川崎市多摩区の排水溝つまり・水まわりの記事でも触れています。区の中で丘と低地に分かれる横浜市港北区のような例は、横浜市港北区の水まわりトラブルの記事にまとめています。
道路の下は「下水道台帳」で調べられる
公道に埋まっている下水道管の情報は、各自治体が図面にまとめています。これが下水道台帳です。
東京23区は、東京都下水道局が「下水道台帳」(施設平面図 縮尺:1/500)を平成17年4月1日からホームページ上に公開しています。同局の案内には、下水道管の位置・深さ・管径・管種、公共ますの位置等を記載しているとあり、続けて「下水の排除方式(合流式・分流式)もわかります。」と明記されています。読み方は同局の下水道台帳ホームページの図面説明にあり、合流管は実線、汚水管は一点鎖線、雨水管は破線で描き分けられています。自宅の前の道路に一点鎖線と破線の2本が走っていれば分流式、実線が1本なら合流式、という見方です。図面を直接調べたい場合や、その他の図面等を調べたい場合の窓口は都庁第二本庁舎27階の下水道台帳閲覧室で、「下水道台帳の閲覧には手数料はかかりません。」とされています(コピーは白黒印刷のみでA3サイズ1枚あたり30円)。
川崎市は、市が管理する下水道施設の埋設情報を「公共下水道台帳施設平面図」に記載しており、そこには「管きょ、マンホール、取付管等の位置、深さ、管径、管種、排除方式などが記載されています」。閲覧先は市ホームページの「ガイドマップかわさき」のほか、各下水道(管理)事務所および管路保全課で、窓口では備え付けのパソコンを閲覧者自身が操作して見る形です。市は窓口の閲覧システムについて「全7区の処理区域内すべての情報が無料で閲覧できます」としているので、台帳を見るだけならどの窓口でも構いません。台帳の閲覧とは別に、下水道についての用件そのものは、市が「お住まいの区を担当する下水道事務所へご連絡ください」と案内しています(川崎区・幸区は南部、中原区・高津区は中部、宮前区は西部、多摩区・麻生区は北部)。
横浜市は、全市向けのよくある質問で公共下水道台帳の閲覧および取得方法を2通り案内しています。ひとつが市ホームページの行政地図情報提供システム、もうひとつが市庁舎2階の「よこはま建築情報センター」にある横浜市下水道台帳閲覧システムで、こちらは「システムの閲覧は無料です。」、コピーの取得は(A3版モノクロ)30円/枚とされています。これに加えて、区によっては土木事務所での閲覧も案内されています。中区の場合は「中土木事務所で中区内の下水道台帳が閲覧できます。」とあり、閲覧は無料、コピーはA3版モノクロ50円/枚です。取扱いは区によって違うことがあるので、土木事務所へ行くつもりならお住まいの区のページを先に見てください。
横浜市の案内でもうひとつ目を引くのが、下水道台帳に記載されている埋設管の状況について「電話でのお問い合わせは受け付けておりません。」と明記されている点です。理由は、場所の特定が困難だったり、間違いが生じた場合の影響が大きいためだと書かれています。口頭で聞いて済ませられる性質のものではない、ということです。
なお横浜市は、台帳図について「地形図の更新頻度や、地形図と下水道施設情報を重ね合わせる際に生ずる誤差などにより、現地の状況とは整合しない場合があります」とも注意しています。設計や工事に使うなら担当部署との協議や現地での確認を、という但し書き付きです。自宅の方式を知る目的なら十分ですが、図面と現地が必ず一致するわけではないという前提は持っておいてください。
敷地の中は台帳に載っていない|ふたと底で見当をつける
台帳で分かるのは道路までです。東京都下水道局は「宅地内や私道の下水道管(排水設備)については、個人の財産のため資料がないので閲覧できません。土地の所有者又は使用者に確認するか、現地調査をお願いします。」と、はっきり線を引いています。敷地の中は、自分の目で見るしかない場所です。
手がかりになるのが、庭や建物の外周に並んでいる「ます」のふたです。横浜市排水設備要覧(令和7年度改正版)は、ふたについて「堅固で耐久性のある材質とし、汚水ますは密閉ふたとする。ただし、雨水用のますの蓋は格子ぶた等とすることができる。」、底部について「ますの底部には、汚水ますはインバートを、雨水ますは深さ15cm以上の泥だめを設ける。」と定めています。インバートは汚物が流れやすいように底へ付けた半円形の溝、泥だめは砂や落ち葉を沈めておく空間のことです。
つまり、すき間なく閉じたふたの列とは別に、格子状や穴のあいたふたが並んでいる敷地は、汚水と雨水を別々に流している可能性があるという見当がつきます。ただし合流式の区域でも、敷地に降った雨を受けるますが置かれていることはあります。基準の細部も自治体ごとに定められているので、ふたの形だけで決めつけないでください。
東京23区には、もっとはっきりした手がかりがあります。東京都下水道局は、分流地区で排水設備の工事をするときの注意事項として「分流地域のふた類は、「おすい」「雨水」標示用を使用してください。」と示しています。同局の図面説明にも「分流式の区域は汚水ますと宅地排水用雨水ますが必要となります。」とあります。ふたに「おすい」「雨水」と書き分けられていれば、分流地区の作法で組まれた敷地だと分かります。
ますのふたを開けて確かめる場合は、いくつか気をつけてください。ふたが重い、割れている、長年開けていないという場合は無理に開けないこと。指を挟まないように縁ではなく取っ手側を持つこと。汚水ますの中は素手で触らず、作業のあとは手を洗うこと。そして開けたら必ず元どおりに戻すことです。開いたままのますは、人や車が落ちる危険があります。自信が持てなければ、点検のときに一緒に見てもらうほうが安全です。ますそのものの役割と手入れについては排水マスの役割と詰まり対策の記事にまとめています。
敷地内と道路側は、ばらばらに決められるものではありません。川崎市は「排水設備には公共下水道と同じく、合流式と分流式があり、公共下水道の排除方式と同じ方式にします。」と説明していますし、横浜市の要覧も「排水管は、公共下水道の排除方式に従って接続ます等の排水施設に接続する。」としています。道路側の方式が分かれば、敷地内がどう組まれているかも見当がつくということです。
方式が分かると、見る場所と頼み方が変わる
ひとつめは、外構や増改築の相談がしやすくなることです。駐車場をつくる、雨どいの先を替える、庭の排水を足す。いずれも雨水の行き先を動かす工事なので、方式を取り違えるとやり直しになります。東京都下水道局は、分流地区での誤接続について「雨水管に汚水が流入するとそのまま河川や海に流出してしまいます。また、汚水管に雨水が流入すると想定水量を超えるため、マンホールから下水が溢れたり、水再生センターでの汚水処理に支障をきたす可能性があります。」と説明し、誤接続があった場合は「埋設した排水設備を掘り返して手直しを行う必要があります」としています。同局は分流地区の屋外流しについて「特に、外流し設備には雨どいからの雨水を排水してはいけません。」とも書いています。見積りを取るときに「うちは分流式です」と先に言えるだけで、話が早く進みます。
ふたつめは、手入れの考え方です。泥だめのある雨水ますは、砂や落ち葉が溜まることを前提にした構造なので、溜まってきたら取り除くという手入れが要ります。屋外の雨水まわりの詰まりについてはベランダの排水溝が詰まる原因と対策の記事も参考になります。
みっつめは、雨とにおいの切り分けです。雨のあとに下水のにおいが上がってくるとき、直接の原因は下水道の方式そのものではなく、排水トラップに溜まった水(封水)が動いたり失われたりすることにあります。方式はその起きやすさに関わる背景で、いま止めるための手当ては封水を戻すことです。仕組みと対処は雨の日に下水のニオイが強くなる原因と対処法の記事にまとめました。雨と関係なくにおいが続くときは一戸建てで下水のにおいがする原因の記事のほうが近い内容です。方式を調べるのは、原因そのものを突き止めるためというより、話を通す相手と見る場所を間違えないためだと考えてください。
集合住宅にお住まいの場合は、そもそも敷地内の配管が個人で手を入れられる範囲かどうかという、別の線引きが先に入ります。どこからが共用部でどこからが専有部かはマンションの水漏れは誰が直すのかを整理した記事をご覧ください。
出典:川崎市上下水道局「下水の排除方式」/同「家庭の下水のしくみ」/同「公共下水道台帳施設平面図の閲覧」/同「公共下水道台帳施設平面図閲覧サービスについて(窓口で閲覧する場合)」/同「事業所のご案内(南部・中部下水道事務所、西部・北部下水道管理事務所)」/川崎市よくある質問「排除方式は合流式ですか。分流式ですか。」/横浜市「合流式と分流式」/横浜市よくある質問「公共下水道台帳の閲覧および取得はどこでできますか。」/横浜市中区「下水道台帳の閲覧(中区)」/横浜市行政地図情報提供システム「下水道台帳図利用上のご注意」/横浜市「横浜市排水設備要覧 令和7年度改正版 第3章 排水設備の技術上の基準」/東京都下水道局「下水道台帳案内」/同「分流地区における排水設備の工事について」/同 下水道台帳ホームページ「図面説明」/同「ニュース東京の下水道 No.275 合流式下水道ってなんだろう?」。本記事では、これらの内容を要約・編集して紹介しています。
下水道の方式で迷ったときはライフアートへ
台帳を開いてみたが図面の読み方が分からない、ふたを開けてみたものの汚水と雨水のどちらか判断がつかない、という段階でお声がけいただいて構いません。川崎市・横浜市・東京23区で水道修理を行っている当社は水道業界歴27年、現地でますの並びと配管の向きを確かめたうえで、いま起きている症状がどちら側の話なのかをご説明します。出張してのお見積りは無料、当日ご契約で4,000円割引、最低料金1,000円〜でお受けしています。年中無休24時間で受け付けています。
▶ お電話:044-385-1384(年中無休)
▶ LINEでお問い合わせ
▶ お問い合わせフォームはこちら
▶ ライフアート川崎のトップページ
ブログ
![]() |
![]() |
![]() |
|---|



