キッチンの排水がゴボゴボ鳴る|正常な音と点検が必要な音の見分け方

トイレつまり・水漏れ|ライフアート合同会社

 

「シンクにためた水を一気に流すと、排水口がゴボゴボと鳴る」「以前はこんな音はしなかった気がする」。キッチンの排水音が気になって検索された方が多いと思います。

 

最初にお伝えしておくと、ゴボゴボという音そのものは、異常のサインとは限りません。排水のときに空気が入れ替わっている音であることもあります。ただし、いくつかの条件に当てはまるときは、点検で改善する余地があります。この記事では、そのまま様子を見てよい音と、手を入れたほうがよい音の分け方を整理します。

 

まず思い出したいのは「いつからの音か」

その音は、引っ越してきたときからずっと鳴っていたでしょうか。それとも、ここ数か月で気づいたものでしょうか。判断の分かれ目は「音がするかどうか」ではなく、「以前と比べて変わったかどうか」です。まずはここを思い出してください。

 

この見方には根拠があります。キッチン設備を扱うメーカーの案内では、排水音そのものを異常とは扱っていません。LIXILのよくあるお問い合わせ「キッチンの排水口に水を流すと『ゴボゴボ』と音がする」には、次のように書かれています。

 

「キッチンの排水口に水を一気に流した際に『ゴボゴボ』や『ボコボコ』といった排水音がすることがありますが、これは排水に空気が巻き込まれる音であり、配管の異常ではありません」

 

そのうえで同じページは、対処によって音が改善する可能性がある場合として、以前に比べて排水音が大きくなったとき、リフォーム後から音がするようになったとき、配管がダブルトラップ(二重トラップ)になっているときの三つを挙げています。つまり、着目点は「音の有無」ではなく「変化」と「心当たり」です。正確な意味や自宅の器具に当てはまるかは、お使いの製品のメーカーの案内でご確認ください。

 

ちなみに、給水側で起きる「ゴンゴン」「キーン」という音は、これとは仕組みがまったく違います。そちらはお湯張りや蛇口で「ゴンゴン」と音がする原因|ウォーターハンマー対策で解説していますので、蛇口を閉めた瞬間に鳴るタイプの音であれば、そちらをご覧ください。

 

排水管には、空気の通り道が用意されている

そもそも、なぜ排水のときに空気が動くのか。それは、排水管に「通気管」という空気の通り道が組み込まれているからです。

 

川崎市上下水道局が公表している「排水設備必携」に収められた川崎市排水設備技術基準では、通気管について、排水管内の空気が各所に自由に流通できるようにして、排水によって管内に圧力差を生じないようにするもの、と位置づけたうえで、次の目的を挙げています。

 

▶ 「サイホン作用及びはね出し作用から排水トラップの封水を保護する。」
▶ 「排水管内の流水を円滑にする。」
▶ 「排水管内に空気を流通させて排水系統内の換気を行う。」

 

同基準は、この三つの機能のうちトラップの封水の保護が最も重要であるとしています。封水というのは、排水口の下にたまっている水のことで、これが下水側のにおいや虫をせき止めるふたの役割をしています。同基準はトラップの構造の条件として、封水深を5センチメートル以上10センチメートル以下とし、常に適当な封水を保って失いにくい構造であることを求めています。

 

水が勢いよく流れると、管の中は一時的に空気が足りない状態になります。このとき通気管から空気が補われることで、封水が引っ張られずに済むわけです。逆にいえば、音は、空気の出入りが起きている場所を教えてくれているとも言えます。

 

心当たりで分ける|あなたの音はどれに近いか

ここからは、ご自宅の状況に近いものを選んで読んでください。

 

①「去年より明らかに音が大きい」。掃除の間隔は変わっていないのに音だけ育ってきた、というパターンです。この場合に想定されるのは、排水管の内部のつまりや汚れの堆積によって、排水が円滑に行われなくなっていることです。キッチンの排水管は、油と洗剤かすが冷えて管の内壁に積もっていきます。前述のメーカーの案内でも、このケースでは排水口や排水管の内部の洗浄がすすめられています。対処で改善する見込みがいちばん立てやすいのが、この形です。

 

②「リフォームを境に鳴り出した」。器具を新しくしてから音が始まった場合です。新しく取り付けたキッチンの排水能力に対して、もともと建物側にある配管の排水能力が足りていないと、音が出ることがあります。この場合は器具側ではなく、建物側の配管を見ることになります。

 

③「引っ越したときからずっと同じ」。掃除をしても変わらず、流れ自体も悪くない。この場合は、その家の配管の作りによる音であることが考えられます。掃除を繰り返しても変化しないのは、そもそも汚れが原因ではないからです。

 

ただし③でも、音がするうえに排水が著しく遅いときは別です。配管の経路上に、排水トラップのように水がたまる部分が複数ある「ダブルトラップ(二重トラップ)」という状態があると、排水と空気の入れ替わりが円滑に行われず、音が出ることがあります。この二重トラップは、そもそも避けるべきものとされています。先ほどの川崎市排水設備技術基準も、トラップの構造の条件として「二重トラップとならないように設けること。」と明記しています。設備としては本来ない状態ですので、心当たりがあれば配管の点検が必要です。

 

自分でできる確認は、この順番で

特別な道具がなくてもできる確認があります。順番に見ていくと、原因の範囲がかなり絞れます。

 

▶ ①いつから鳴っているかを思い出す(前からか、最近からか、リフォーム後からか)
▶ ②キッチンだけか、洗面・浴室・トイレでも鳴るかを確かめる
▶ ③水を流したあと、他の場所の排水口でも音がしないか聞いてみる
▶ ④排水口のふた・ヘアキャッチャー・トラップ部品を外して、汚れや部品の破損がないか見る
▶ ⑤戸建てなら、屋外の排水マスのふたを開けて水の流れと水位を見る

 

②と③が大事です。キッチンだけで鳴るのか、家じゅうで鳴るのかで、疑う範囲が変わります。キッチンだけなら、その器具から下の短い区間の話である可能性が高くなります。一方、別の場所で水を使ったときに音が連動するのであれば、もっと先の共通の配管を見ることになります。

 

④で外すのは、排水口の中にある部品までにしてください。先ほどのメーカーの案内でも、シンク下のトラップに封印シールが貼られている部分は絶対に外さないよう注意されています。水漏れの原因になり、製品保証の対象外にもなります。なお、排水口の中の部品(ワン付きストレーナーや封水筒と呼ばれるもの)を外すとスムーズに流れる場合は、先ほどのダブルトラップの可能性があるとされています。

 

部品を外したときは、パッキンを含めて破損や変形がないかも見てください。浴室について、LIXILのよくあるお問い合わせ「ユニットバスの洗い場の排水口から『ゴボゴボ』と音が鳴り排水が遅い」は、排水口のトラップに汚れや異物などがあると音が大きくなったり排水が悪くなったりするとし、部品に破損や変形がある場合は排水の流れが悪くなったり臭気が上がってくる可能性がある、と案内しています。掃除の方法は器具によって違いますので、お手元の取扱説明書に沿って行ってください。

 

⑤の排水マスは戸建て特有の確認ポイントです。役割と見方は排水マスとは?戸建て住宅オーナーが知っておくべき役割と詰まり対策にまとめています。マスに水がたまったままになっていれば、その先で流れが止まっているサインです。

 

集合住宅で、上下の階の使用に合わせて音がする場合は、住戸の中だけの問題ではないことがあります。考え方はマンション排水音が階下に響く原因と防音対策|専有部・共用部の見分け方をご覧ください。

 

音と一緒に「におい」が出てきたら、別の話が始まっています

音だけなら急ぐ話ではありません。ただし、音と同時に下水のにおいが上がってくるようになったときは、封水が減っている可能性があります。前述のとおり、封水はにおいをせき止めるふたなので、これが薄くなると室内側ににおいが入ってきます。

 

なお、浴槽の排水については、同じメーカーのよくあるお問い合わせ「ユニットバス(お風呂)の浴槽から排水すると『ゴボゴボ』と音がする」が、音がする間は排水トラップの水(封水)の水位が下がるものの、排水が終わると元に戻る、と説明しています。一時的に下がること自体は、におい漏れとイコールではないということです。においが続くかどうかで見てください。

 

においが主役になっている場合の切り分けはキッチン排水口が臭い原因と自分でできる対策|排水トラップの仕組みと掃除方法で扱っています。戸建てで、においが家全体に回っている場合は一戸建てで下水のにおいがする原因|雨と関係なく続くときの切り分け方のほうが近い内容です。雨の日や大雨のあとだけ強くなるという場合は、雨の日に下水のニオイが強くなる原因と対処法|封水切れの仕組みと予防策をご覧ください。

 

もうひとつ、シンク下が湿っている・においがこもるという場合は、排水音とは別に水漏れが起きていることもあります。その見分けはキッチンのシンク下から水漏れ|原因と応急処置・自分で直せる範囲にまとめました。

 

放っておくとどうなるか

音が「以前より大きくなった」タイプの場合、その下にあるのは汚れの堆積です。この状態は、ある日を境に急に詰まるのではなく、少しずつ通り道が細くなっていきます。

 

ですから、音の変化に気づいた段階は、まだ選択肢が多い時期です。排水口まわりの掃除で済むこともありますし、管の奥であれば洗浄で流れが戻ることもあります。完全に詰まってシンクから水があふれてからでは、床や下の階への被害の心配が加わり、話が大きくなります。

 

逆に、掃除をしても音が変わらず、流れ自体は問題ないという場合は、器具ではなく建物側の配管を見ることになります。掃除を繰り返しても解決しないときは、点検してから判断したほうが早道です。

 

出典:LIXIL「よくあるお問い合わせ」の各ページ(「キッチンの排水口に水を流すと『ゴボゴボ』と音がする」「ユニットバスの洗い場の排水口から『ゴボゴボ』と音が鳴り排水が遅い」「ユニットバス(お風呂)の浴槽から排水すると『ゴボゴボ』と音がする」)/川崎市上下水道局「排水設備必携」第1編-1「川崎市排水設備技術基準」。本記事では、これらの内容を要約・編集して紹介しています。

 

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